焦点距離とは
レンズに光が入射して光が一点に集まるところを焦点といいます。
カメラはその仕組みを利用して、レンズを通って屈折した光が一点(焦点)に集中することで像を結び、その位置にイメージセンサー(撮像素子)を置くことで像を写します。
この時、レンズの中心(主点)からイメージセンサー(撮像素子)までを焦点距離といいます。
焦点距離とレンズの種類
レンズの種類を表す際に「何mmのレンズ」というように、焦点距離の違いでレンズが区別されます。
レンズを通してカメラが捉える範囲の広さを表す角度を画角といい、広い範囲を写すことができる画角を広角、遠くのものを大きく写している範囲のことを望遠といいます。
レンズの話に置き換えると、「何mm」の表記が17㎜~35㎜あたりの値が小さいレンズを広角レンズ、80㎜~400㎜あたりの値が大きいレンズを望遠レンズを指しています。
焦点距離を変えると
ピントの深さ(被写界深度)が変わる
ピントの深さ(被写界深度)とは、カメラのピントが合う範囲のことをいいます。
焦点距離が長くなると(望遠)、 被写界深度は浅くなる=被写体付近だけピントが合いやすく背景はボケやすい。
短くなると(広角)、 被写界深度は深くなる=被写体から背景までピントが合いやすい。
被写界深度は焦点距離だけでなく、絞りを絞る(F値を大きくする)、撮影距離が長くなるほど、深くなるなど、他の要素も関わってきます。
画角が変わる
画角とは、カメラが写せる被写体の範囲の広さを表す角度のことをいいます。
焦点距離が長くなると(望遠)、 画角は狭くなる=被写体が大きくなる。
焦点距離が短くなると(広角)、 画角は広くなる=写る範囲が広がる。
焦点距離とセンサーサイズ
イメージセンサーとは、デジタルカメラにおいてフィルムのような役割を果たし、レンズから入った光が結像し被写体のデータを取り込むようになっている部分のことです。
カメラによってセンサーサイズは異なり、一番センサーサイズの大きいカメラをフルサイズ、そこから順にAPS-C、マイクロフォーサーズと小さくなっていきます。
センサーサイズの大きさが変わると、焦点距離が同じでもレンズから入ってきた光を結像させる角度が変わってきます。
そのため、焦点距離が同じに揃えた場合でもセンサーサイズが大きいほど画角は広く、小さいほど画角は狭くなります。
フルサイズ換算
イメージセンサーの違いは画角の変化に大きく関わってくることから、
同じ焦点距離のレンズを使用していても、カメラのイメージセンサーのサイズで画角に違いが出てくると、撮影したい画角で撮るにはどのカメラとどのレンズを選べばいいか、といったような状況で発生するかと思います。
そうした課題を解決するために、フルサイズ換算(または35mm換算)があります。
フルサイズセンサーを基準に、フルサイズ機で見た場合の画角として、他のイメージセンサーの焦点距離を計算しなおす方法です。
この計算方法で換算すると
APS-C(SONYやNicon、FUJIFILMなど)
レンズ側の焦点距離 × 1.5
APS-C(Canon)
レンズ側の焦点距離 × 1.6
マイクロフォーサーズ
レンズ側の焦点距離 × 2.0
で、求めることができます。
これらを計算すると、フルサイズ機で使用したレンズは各センサーサイズで以下のように、同等の画角になります。
35㎜フルサイズ ⇔ APS-Cサイズ
広角 24㎜ 16㎜
標準 50㎜ 33㎜
望遠 180㎜ 120㎜
超望遠 400㎜ 266㎜
画角が狭くなってしまうというのは一見デメリットのようにも思いますが、遠くの被写体をより大きく写せるというメリットもあります。
遠くのものを撮りたい場面ではマイクロフォーサーズやAPS-Cのカメラが力を発揮することから、撮影状況によってイメージセンサーの選択が重要になってくるといえます。
疑似的に焦点距離を変える―クロップ機能
フルサイズカメラにはイメージセンサーの全体を使わず、APS-Cサイズで撮影するクロップ機能があります。
レンズの焦点距離は変えずに遠くの被写体を大きく写す撮影方法です。
レンズ交換をせずに画角を変えることができ、撮影と同時にトリミングするようなものです。
しかし、もちろんセンサーの一部の画素を使う形になるので、クロップした分の画素数のみのデータとなります。
例えば、フルサイズ 6048px × 4032px = 約2438万画素のカメラを使用していた場合
クロップ後 3984px × 2656px = 約1058万画素
になるため、高解像度がいらない画像サイズが小さくても使用用途として十分な解像度になるSNSやWEB上での画像素材向けの撮影方法といえます。